日本霊能史近世篇・江戸の幽霊はどう見えた?

(SF乱学講座・2006年11月5日・高井戸地域区民センター)


◎キリスト教の衝撃と寺請制度・・・・寛永14年(1637)島原の乱勃発。

  出版統制・言論統制・・・・大成経事件(延宝7年=1679刊)

  馬のもの言う事件(元禄6年=1693)



◎祐天登場・・・・累ケ淵事件(寛文12年=1672)

  江戸浄土宗総本山・増上寺住職に就任(正徳元年=1711)



◎18世紀半ばの出版革命・・・黄表紙本による江戸文化の地方拡散

  北尾政美・画『夭怪着到牒』(天明8年=1788)

  「世に畏怖ようくわいは おくびやうよりおこる我が心をむかふへあらわしてみる」

  百斎・文画『怪談おそろ史記』(文化3年=1806)

  全7話中、3話に落ちがある拍子抜け怪談集

  妖怪のキャラクター化と幽霊の人格化

  生前の因縁や見る側の業に関わらず、誰の前にも現れる霊

  生前の個性を持ち越した霊

  一方で姿が見えない妄念だけの霊も出現し続ける。

  (「人に見えない霊が見える特殊な能力者」としての霊能者はまだ現れない)



◎寛延3年(1750)備後国三次(現広島県三次市)で稲生武太夫、一ヶ月間、毎夜、妖怪と遭遇(『稲生物怪録』)



◎天保年間頃(1830〜43)幕藩体制のゆらぎ。

  平田篤胤(1776〜1843)(『大霊界3死んだら生まれ変わる』1992)

  文政3年(1820)仙童寅吉との出会い。

  『仙境異聞』刊行の年(文政5年=1822)、武州で転生事件(『勝五郎再生記聞』)


  天保9年(1838)大和国で天理教開教

  安政5年(1858)備中国で金光教開教



参考文献:

  原田実・杉並春男『原田実の日本霊能史講座』楽工社・2006

  原田実「江戸の幽霊付き合い」『新潮45』2006年9月号