「工業製品の検査について」

調べたことしか分からない。調べても100%分かるわけではない。


1,工業製品のライフサイクル
 1−1、設計 設計手順
  1、製品の企画(何を作るか)
    市場のニーズ、個人的なニーズ、注文が来たので作る
  2、図面を作る
    絵を描く ←→ 強度計算、機構設計、干渉チェック
  3、試作(実際に作ってみる)
  4、性能試験(壊れるまで使ってみる)
  5、問題点の洗い出し
    (洗い出せたら、1または2までもどる)
  6、設計審査

 1−2、製造
  1、図面を見て加工順序を決める
  2、加工して寸法通りに仕上がっているか確認する
  3、加工条件が決まれば、そのまま次々と量産。
  4、組み立て
  5、調整
  6、出荷検査
  7、据え付け・受け入れ検査

 1−3、運転
  1、マニュアル通りに、製品の使用限界を超えないように使う。
  2、マニュアルがない場合
   ・インターロック(誤った使い方ができないようにする。プロ向け)
   ・フールプルーフ(誤った使い方ができないようにする。素人向け)
   ・フェールセーフ(壊れても最悪の事態に至らないようにする)
  3、疑問があったら、設計者に聞きましょう。

 1−4、点検・修理・補修
  0、分解・洗浄
  1、部品交換
  2、検査・修理・補修(保全)

2、破壊
 2−1、壊れるとは何か?
  破損: もとの形状にもどらない(永久ひずみの発生)
  破壊: 破断・分裂してしまう
 2−2、延性破壊
  引っ張って、ブチッと切れる破壊。(引っ張り試験)
  応力ひずみ線図
 2−3、脆性破壊
  ガツンと叩いて、割れる破壊。(シャルピー衝撃試験)
  脆性遷移曲線
 2−4、疲労破壊
  チマチマと繰り返し力を加え続けると、ポキッと折れる破壊
  SN線図

3、クラック(割れ)の危険性
 3−1、応力
  応力 = 荷重 ÷ 断面積
 3−2、応力集中
  クラック(割れ)の先端には、応力が集中し、
  上記の計算式で求めた応力の数倍の応力となる。

4、欠陥の発生
 4−1、製造時
  加工ミス
  (溶接、切削加工、プレス、鍛造、鋳造)
 4−2、使用時
  過大な負荷
   ・制限を超える荷重
   ・制限を超える繰り返し数
  使用環境
   ・塩
   ・腐食物
   ・有毒ガス
 4−3、設計時
  強度不足
  形状ミス(形状急変部を作ってしまう)
  使用環境に対する配慮が不十分

5、検査
 5−1、非破壊検査
  表面欠陥
   MT(磁気探傷、磁粉探傷)
    電磁石と磁性粉末を使って、クラックを検出
    磁石にくっつく物しか検出できない。
   PT(浸透探傷)
    色素を含んだ液体をクラックに染み込ませて検出
    表面がざらついているものには不適。
   ET(渦流探傷)
    高周波の磁界を与えて、反応を見る
    形状が単純なもの(板、管、棒)にしか適用できない。

  内部欠陥
   RT(X線または放射線による探傷)
    工業用レントゲン撮影
    作業員に放射線被曝のリスクがある。
    分厚いものでは欠陥の検出が難しい。
   UT(超音波探傷)
    超音波プローブから超音波を発信し、欠陥に当たって帰ってくる反射波を計測
    作業員に高度な技術が要求される

 5−2、破壊検査(破壊試験)
  引っ張り試験
   金属材料の応力ひずみ線図を測定する
   金属材料の降伏点や耐力(0.2%耐力)を求める
   金属材料の引っ張り強さを求める
  圧縮試験
   コンクリートの圧縮強さを求める
  衝撃試験
   金属材料の破壊靭性値を求める
   金属材料の脆性遷移温度を求める
  疲労試験
   疲労強度曲線(S-N曲線)を求める
  破面観察(フラクトグラフィー)
  破面の化学分析(分光分析)
   電子顕微鏡(走査型(SEM), 透過型(TEM))による観察
   EPMA(電子線プローブマイクロアナライザ)電子線を当てて
    出てくる電子線やX線などを測定
   AES(オージェ電子分光装置)電子線を当てて出てくる電子を測定
   XPS(X線光電子分光分析)X線を当てて出てくる電子を測定